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いらない土地を相続しなければならないとき

父名義の山林などが遺産にあるのだけれど,誰も管理することができないのでどうしたらよいか?といったご相談を受けることがあります。これまでは誰かが相続しなければならなかったのですが,「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が制定され,令和5年4月27日から施行されることになりました。

この法律では,相続等(=「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限ります。)により土地を取得した者が国に対してその土地を取得してくれるように申請することができます。

土地の管理に困っていた人にとっては良い話ではありますが,どのような土地でもよいというわけではありません。詳しくは,法務省のウェブサイトなどでご確認いただきたいのですが,例えば,建物が存在する土地や通路として使用されている土地については,申請が認められません(厳密には,却下される場合(同法2条3項)と棄却される場合(同法5条1項)があります)。

また,国の審査により国庫に帰属させることの「承認」が得られたら,負担金を30日以内に納付しなければなりません。国も管理をする必要があるので,タダでというわけにはいかないのです。負担金額の算定方法は政令で定められており,令和4年9月29日に公布されました。

それによれば,それほど管理に手間のかからない(粗放的な管理で足りる)土地については,負担金20 万円とされているようです。この金額が一つの基本で管理の必要な程度に応じて金額が計算されます。以下に,法務省ウェブサイトの具体例を引用します。市街地の宅地(200 ㎡)で80万円と想定されているようです(法務省ウェブサイト「相続土地国庫帰属法施行令について」https://www.moj.go.jp/content/001380883.pdf 2022年10月5日最終閲覧)

対象となる土地が制限されることや,申請の手間がかかること,負担金の納付が必要なことから,現時点では,どの程度活用できるのか分かりませんが,相続時の一つの選択肢として検討してみるのもよいでしょう。なお,生前贈与を受けた土地は対象になりませんので注意してください。もちろん,法人が所有している土地も対象にはなりえません。

 

 

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