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安心して任せるために!フリーランスへのデザイン依頼の法的ポイント

最近はフリーランスの方にデザインなどを外注することも多くなりました。当事務所のウェブサイトの一部デザインもフリーランスの方にデザインしてもらいました。フリーランスのトラブル防止のためには、法律的にはどのような点に注意すればよいでしょうか。

著作権法の観点から簡単に

まず、デザインの著作権を譲り受けるのかどうかを決めなければなりません。著作権の譲渡を受けるのであれば、その旨はっきり記載する必要があります。この際、著作権法第27条と第28条の権利を含めて譲り受けることを明記すべきです。なぜなら、単に著作権全部を譲渡するというだけだと、著作権法第27条と第28条の権利はもともとの著作権者に残されたものと推定されてしまうからです。

また、こちらもよくみられますが、著作者人格権を行使しないという約束を取り付けておく必要があります。

以上の点は、一般的によく見られる処理ですので、これ以上の説明はしませんが、これらの処理がされていないと著作物に改変を加えるとき、例えば、ロゴのデザインの色味を変えることができなくなるおそれがあります。

下請法・フリーランス法の観点からの注意事項

もう一つ気を付けなれければならないのが、フリーランス法です。なお、資本金が1,000万円を超える会社であれば、下請法が適用されることになりますが、この場合でもほぼ同じことに注意しなければなりません。

【書面の交付】

まず、フリーランスの方に対して委託をする際に、何をお願いするのか明らかにした書面を交付しなければなりません(フリーランス法3条)。依頼内容をはっきりさせることが大切です。この際に、著作権もあわせて譲り受けるのであれば、この書面に著作権の譲渡が含まれることをはっきりと書き込まなければなりません[1]。また、著作権の譲渡の対価がフリーランスの報酬に含まれるようにしましょう。この際、報酬に著作権の譲渡の対価が含まれることを明示しておくべきでしょう。

【適正な対価】

著作権の譲渡の対価を含めないで著作権を譲り受けると「買いたたき」と判断されるおそれがあります(フリーランス法5条1項4号)。また、著作権の譲渡を定めておくのを忘れていたので、後日に、無償で譲り受けるようなことをすると、不当な経済上の利益を提供させたと言われるおそれがあります(フリーランス法5条2項1号)。複数デザインのうちの1つを譲渡させる契約内容だったが、採用デザインだけでなく、不採用のデザインも提供させるようなことをしても不当な経済上の利益と評価されるおそれがあります[2]。このあたりは、簡単に考えてしまいそうなところですので、注意が必要です。

フリーランスの方とのお付き合いに関して、単なる外注業者というのではなく、パートナーとして対等なお付き合いをする意識があれば、問題を避けることができるはずです。法律論だけでなく会社としての姿勢も問われているのかもしれません。

 


[1]: 解釈ガイドライン第2部第1の1(3)ウ(https://www.mhlw.go.jp/content/001259281.pdf)。
[2]: 鎌田明『下請法の実務[第4版]』92頁(公正取引協会,平成29年)。下請法の教科書ですがフリーランス法でも同様の解釈になるはずです。

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