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フリーランス法とプロ野球の戦力外通告

昨年11月にフリーランス法が施行されました。
ご存じの通り、デザイナーやライター、ITエンジニアなど、組織に属することなくフリーランスで働く人々を保護する法律です。

私のフリーランスのイメージは上のようなものだったのですが、最近、意外なところにフリーランス法が影響しているのを知りました。というのが、プロ野球選手の戦力外通告です。ご存じの方も多いかと思いますが、プロ野球選手は個人事業主です。個々の個人事業主が球団と契約を結んでいることになります。

フリーランス法が施行された結果として、プロ野球選手に対する戦力外通告を30日以上前に行わなければならなくなりました。プロ野球選手については、通常は1年契約で更新を繰り返していくのでしょうが、このような契約の更新を拒絶する場合には30日以上前に予告しなければならないとされています(フリーランス法16条1項)。そのおかげで、日本シリーズ中にも某球団から戦力外通告がされたとのことでした。

プロ野球選手をはじめとするプロスポーツ選手がフリーランスというイメージはありませんでしたが、確かに、法律の定義からするとフリーランスに該当することになりそうです。もっとも、フリーランス法の細々とした規定がプロスポーツ選手の権利の保護に役立つ場面は少なそうです。例えば、フリーランス法では給付の内容や報酬の額などを定めなければならないことになっていますが、プロスポーツ選手の仕事内容がはっきりしないことはないでしょうし、報酬が分からないということもないはずです。

ただ、ここで紹介した30日前予告は多少は意味はあるのかもしれません。非常に特殊な職業なので、新しい仕事を探すのは大変だと思います。その意味では少しでも早いほうがよいとはいえるのかもしれません。ちなみに、この予告期間が守られなかったとしても、契約の更新拒絶ができないことにはならないと思います。フリーランス法は委託者に対する行政規制ですから、民事上の効力は別に考えるべきだからです。ただし、規制に違反すると、厚生労働大臣から勧告を受け、それにも従わなければ措置命令が発せられ、事業者名の公表などの制裁を受けることになります(命令に従わなければ50万円以下の罰金です)。

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