製造物責任というとメーカーだけの問題だと思われがちですが、販売業者等も注意しなければなりません。商標使用許諾契約では、使用許諾契約において「製造業者名を明記しなければならない」などの規定をおくことがあります。これは、製造物責任法の「製造業者等」としての責任を免れるためです。
製造物責任法で責任を負わなければならないのは、「製造業者等」です。メーカーだけでなく、いわゆる「表示製造業者」や「実質的製造業者」も責任主体になり得ます。
これを避けるために、使用許諾契約において自社商標に加えて、製造業者名を明記させるよう規定するのです。例えば、自社商標Aに加えて、製造元B社と商品に書いてあれば、商標Aの登録主体が製造業者だと誤認されるリスクは低くなります。
もっとも、このような表示がされていても、製品の使用者が製造業者の表示を認識することが難しければ、誤認のおそれあり、とされることはあるでしょう。また、製造物責任法では「実質的製造業者」も責任を問われうるものとされています。前述の「表示製造業者」に該当しない場合の受け皿的な規定とされていて、例えば、一手販売を行う販売事業者が「発売元」などの表示を付している場合がこれにあたり得るとされています。「このような規定は、実際上、一定範囲の販売事業者が本法の責任主体となることを認める機能をもつといえる」とも評価されています(土庫澄子『逐条講義 製造物責任法 第2版 基本的考え方と裁判例』251頁(勁草書房,2018年))。
ですから、先のような使用許諾契約を取り交わしておけば十分というわけではありません。実質的な製造業者であると認めることができるかどうかは、社会通念に照らした総合判断とされています(消費者庁「逐条解説 製造物責任法」25頁(2018年))。ですから、はっきりとした基準を示すのは難しいように思います。プライベートブランド品を販売するような場合には特に慎重に対応すべきでしょう(表示製造業者にも実質的製造業者にも該当し得る)。製造物責任を負うことになった場合に、現実の製造業者に損害を填補してもらうような規定や、PL保険でのリスク移転なども考えておく必要がありそうです。