2022年6月20日付の毎日新聞ウェブ版に「離婚後の共同親権を提案へ 法務省、法制審部会に 8月にも試案」という記事が掲載されていました。
https://mainichi.jp/articles/20220619/k00/00m/040/184000c
現在の民法では,父母が離婚する場合にはその一方が親権者となると定められています(民法819条)。つまり,我が国では,一方の親のみが親権をもつ「単独親権」という制度がとられていることになります。なお,どちらが親権者になるか決められない場合には,家庭裁判所の審判により定められます(同条5項)。ここに至るようなケースは,相当深刻な紛争といえるでしょう。
上記毎日新聞の記事では,親権の奪い合いや,子どもの連れ去りなどが問題になっており,諸外国では,両方の親が親権をもつ「共同親権」が主流であると書かれています。そこで,今後は「共同親権」にすることも視野に,法制審で検討してもらうということのようです。
とはいえ,形式的な親権よりも,実際の監護者をどちらにするのかということが大きな問題のように思います。また,子の福祉といった観点から必ず共同親権が望ましいとも限りません。例えば,離婚後に一方の親が再婚することも考えられるわけです。このほか,実際には子の監護をしていない方の親が(親権者として)子の財産管理権をもつことになるのも問題があるかもしれません。このように考えるとまだ慎重な検討が必要になるでしょう。
法律が変わるとしてもまだ大分先のこととは思われますが,この機会に,子どもにとってどのようなあり方が望ましいのか考えてみるのもよいかもしれません。
参考文献
窪田充見「家族法: 民法を学ぶ」, 有斐閣, 2019