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知的財産・個人情報・ 営業秘密

知的財産・個人情報・ 営業秘密

企業経営に関して重要性を増しているのが知的財産です。営業秘密も知的財産に含まれます。また,個人情報の取り扱いを誤ると企業の信用を傷つけることになります。

当事務所の弁護士は弁理士としての出願実務経験もありますので,その経験を踏まえて分かりやすい説明をするように心がけています。ご相談だけでも構いませんので,お気軽にお問い合わせください。

なお,当事務所の企業向けサイト(https://hktcorp.jp/)もぜひご参照ください。

 知的財産

企業の経営に際しては知的財産を有効に活用していく必要があります。また,いうまでもありませんが,他人の知的財産権を侵害するようなことがあってはなりません。「知的財産」とは,政策的判断から特定の者に独占させてもよいとされる有用情報などと言われます(高林龍「標準特許法第6版」p.2,有斐閣2017)。このように知的財産とは,情報,つまり目に見えないものなので,分かりにくいし,意識しにくいものです。

 

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特許

技術系のベンチャー企業などはもちろんですが,特許についての基本的な知識は整理しておいたほうがよいでしょう。特許権が強力な独占権であることはよく知られることですが,オープン・クローズ戦略と言われるように,特許権の取得が正しい企業戦略とは限りません。特許権は公開の代償として付与されるものなので,特許に関する発明を秘密にしておくことはできません。場合によっては,ノウハウなどとして企業の営業秘密にしておく方がよいこともあります。この場合には,営業秘密として管理をする必要がありますし,万が一に備えて,先使用権を主張できるように記録を残しておくことも考えなければなりません。技術経営という観点から考えていく必要があります。

当事務所では,以下のようなご相談について,分かりやすく説明をさせていただきます。

企業の営業秘密としておく場合にはどのような点に気をつけるべきか。

共同研究契約の締結に際してはどのような点に注意をすればよいか(例えば,大学との共同研究など)。

ライセンス契約に際して注意すべき点はどこか。

職務発明規定は,どのように定めるべきか。

自身の発明を冒用されてしまったときには,どのようにすればよいか。

特許権の侵害であるという内容証明郵便が送られてきた。

 

商標

一般的には,特許よりも商標の方が理解しにくいようです。商標権は自社の商品を他の商品と区別することができるようなマークを特定の商品などに使用し続けることができるようにするものです。といっても,なかなか商標登録のメリットを理解することは難しいと思います。当事務所では商標の意義について分かりやすく説明をさせていただきます。

また,場合によっては,商標権侵害の警告書を受け取ったなどというケースももあるかもしれません。いずれにしましても,早めに対応・検討が必要です。

 

著作権

もっとも身近な知的財産権は著作権ではないでしょうか。今では誰もがクリエイターになれる時代です。ウェブ上にあったイラストを利用していたら,著作権侵害の警告状がとどいたなどという事例もよく聞きます。どのような対応をするのがよいか慎重に検討する必要があります。

また,ウェブサイトを制作する際には,契約上,その著作権の帰属がどのようになっているのかなど基本的な問題点を確認しておくべきでしょう。著作権については普段から意識をしておくべきでしょう。

 

不正競争防止法

このような代表的な知的財産に加えて,不正競争防止法の存在にも注目する必要があります。例えば,商標登録をしていない場合でもその商標が周知と認められる程度に至っていれば,不正競争防止法上,周知商品等表示として保護される場合があります。その逆も然りで,商標登録がないからといって,他人の使っているものと類似している商品等表示を用いることには慎重でなければなりません。

また,自社の重要な技術については,特許による保護を求めるだけではなく,営業秘密としての保護を目指す方法もあります。特許出願をすると世の中に自社の技術が公開されてしまうというデメリットがありますが,営業秘密として管理をすればノウハウとして他社に知られずに自社の優位性を保つことができるかもしれません。この場合には,不正競争防止法上の営業秘密の要件を満たすようにしなければなりません。営業秘密については,以下に少し詳しめに説明していますので,参考にしていただければと思います。

(なお,説明は割愛させていただきますが,このほかにも多くの種類の知的財産があります)

営業秘密

情報通信機器の発達,雇用の流動化などを背景として,企業の秘密情報漏洩のリスクが大きくなっています。このような時代の趨勢から,不正競争防止法は頻繁に改正されています。立証責任の転換規定の導入,非親告罪化など(平成27年改正),限定提供データの保護(平成30年改正(令和元年7月1日施行))など新たな規定などが次々と導入されつつあります。また,経済産業省でも「営業秘密管理指針」を改定するなどの対応をしています。

 

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企業間の営業秘密の漏洩防止

不正競争防止法においては営業秘密を保護する規定があることは先に述べたとおりですが,企業において基本になるのは,自社で扱っている機密情報について,秘密保持契約を締結しておくことにかわりありません。そのことが不正競争防止法上の営業秘密に該当することにもつながります。

ところで,不正競争防止法上の営業秘密の要件は,秘密管理性有用性非公知性の3つとされています。もっとも重要なのは,秘密管理性です。経済産業省の「営業秘密管理指針」では秘密管理性について次のように述べています。

営業秘密保有企業の秘密管理意思…が,具体的状況に応じた経済合理的な秘密管理措置によって,従業員に明確に示され,結果として,従業員が当該秘密管理意思を容易に認識できる(換言すれば,認識可能性が確保される)必要がある。

簡単に言うと,企業が秘密として管理していることがはっきりと分かるようにすべきということになりそうです。もっとも分かりやすいのが,ファイルなどにマル秘マークをつけておくことでしょう。また,IDカードなどでの入退室管理なども典型的なものです。このような管理が形式的にだけでなく,実質的にもなされていることが大事だと思われます。なお,有用性については,企業にとって有益な情報であること,非公知性については,当該企業の管理している範囲外では通常入手できないことという程度の認識でひとまずは足りると思います。

次に,秘密保持(NDA)契約について,簡単にご説明します。不正競争防止法の営業秘密と認められれば,営業秘密の不正な使用などを差し止めることなどができます。ただ,その前に,契約により秘密情報を特定しておき,漏洩を事前に防止した方がよいに決まっています。そのために,各種の契約書では,秘密情報の保護を目的とする規定が設けられています。こちらのポイントは,契約上,秘密情報の定義をどのようにするのかということでしょう。さまざまな特定方法が考えられますが,私としては,何が秘密であるのかを明確にしておくのがよいと考えています。簡単にいうと,言い逃れできないようにしておくことができるからです。

 

従業員による営業秘密の漏洩防止

秘密情報の保護は対取引先以外でも問題になります。対従業員との関係です。むしろ近時では,こちらの方に力点をおかれることが多いように思います。

入社時,プロジェクト参加時(秘密の範囲の具体化),退社時に誓約書を提出させること,就業規則や情報管理規程を作成することが重要といわれています。このようにすることで,秘密情報に対する認識が向上します。つまり,上述した不正競争防止法上の秘密管理性の要件を確保しやくすなります。また,不正競争防止法によらなくても,契約に基づき個々の従業員に対する差止請求・損害賠償請求が可能になると考えられます。

なお,これに関連して問題となるのが,退職時の競業避止義務規定です。退職した従業員がライバル会社に就職したり,独立して競業する事業を始めるのを防ぐために,退職しようとする従業員に対して競業避止義務を負わせようとする場合があります。(元)従業員にも職業選択の自由がありますので,それとの緊張関係が生じるのです。ここで詳しくはご説明できませんが,競業が禁止される期間,場所的制限の有無,代償の有無などのさまざまな事情が判断材料になります。丁寧に競業避止契約を作成する必要があるでしょう。

 

その他(限定提供データ)

なお,平成30年の改正により,不正競争防止法により限定提供データも保護されるようになります。営業秘密に該当しない一定のデータについても知的財産として保護しようという趣旨です。次の3つの要件を満たす必要があります。例えば,ID/パスワード管理された自動走行用地図データなどが該当する可能性があるとされています。

1. 限定提供性
2. 電磁的管理性
3. 相当蓄積性

 個人情報

個人情報保護法が改正されて小規模の事業者に対しても個人情報保護法が適用されるようになりました。言うまでもなく,個人情報の取り扱いには慎重に配慮しなければなりません。個人情報の利用目的は特定できているでしょうか,個人情報取得に際しての利用目的の通知・公表はされているでしょうか。いつの間にか個人データを無断で第三者に提供することになっていないでしょうか。安全管理措置は十分なものになっているでしょうか。基本的な事柄をチェックしてみてください。

また,個人情報の取扱いに関しては,従業員に個人情報の価値についての意識を高めてもらうことが重要です。従業員教育も再検討が必要かもしれません。

当事務所では個人情報保護法についても豊富な知見を有しております。お気軽にご相談ください。