2022年12月10日に親子法制を改正法(民法の改正法)が成立しています。改正法は2022年12月16日から1年6月以内に施行される予定です(政令で定める日)。なお、懲戒権の削除等は2022年12月16日から既に施行されています。
改正内容は、法務省のウェブサイトに簡潔にまとまっています(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html)。重要な点を引用すると、以下のとおりです。
「 ○ 婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
○ 女性の再婚禁止期間を廃止しました。
○ これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
○ 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。」
再婚禁止期間が廃止されますので、婚姻関係が形骸化していた前夫と離婚して、期間をおかずに別のパートナーと結婚し新しい生活を始めることもできることになります。また、離婚から300日以内に子どもが生まれたとしても、その子は再婚後の夫の子と推定されることになります。改正前は、この期間に生まれた子は前夫の子と推定されます。ですから、前夫の子でないことが明らかであっても、例えば、前夫にDVなどがありその協力を得ることが難しい場合には、そのまま前夫の子として扱われることがありました(前夫が1年以内に嫡出否認権を行使しない)。このような事情から出生届の提出を見送ると子どもが無戸籍になってしまう、という問題がありました。
改正事項をみていただくと分かるように、この度の改正で以上のような問題はかなり解決できることになります(ただし、新たに婚姻をしない場合には、やはり前夫の子との推定が働く)。