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遺言と遺留分減殺額請求

相続が争族になってしまうというのとても残念なことです。トラブルを扱うことが多い仕事柄、紛争性のある事例に接することが多くあります。少しでも財産がほしいと思うのは仕方がないことですから、相続の紛争がなくなることはないでしょう。ただ、事前に遺言書を作成しておけばよかったのにと思えるケースもしばしばあります。

遺言書を作成することで遺言者、つまりご自身の意思に沿った相続をさせることができます。ただ、遺言とはいえ、遺留分に勝つことはできません。遺留分は相続人の最低限の取り分といってよいでしょう。遺留分は、法定相続分の1/2になります(直系尊属のみが相続人の場合は1/3)。遺言による相続の結果、ある相続人が取得する財産の割合がこれに満たないときには、遺留分減殺額請求ができます。ここは相続法の改正により金銭的な清算を求めることになったことに注意する必要があります。

例えば、事業承継の円滑化などのために、ある特定の相続人に財産を集中しようとする場合には、遺留分の侵害に注意しなければなりません。遺留分を侵害しないように遺言を作成するのがよいのですが、いつでもそれができるとは限りません。ひとつの方法として生命保険を活用することが考えられます。生命保険の請求権は、原則として、遺産の範囲に含まれません。ですから、その相続人が生命保険の保険金を取得できるようにしておき、他の相続人からの遺留分減殺額請求に対しての支払いができるようにしておくのです。生命保険は、相続税の節税にもなりますので、その意味でも活用を考えたいところです。ただし、生命保険金の金額が遺産総額に対して大きな割合を占めることになり、相続人感の公平を失するような場合には、特別受益に準ずるものとして扱われ、遺産への持ち戻しをしなければなりません。また、言うまでもなく、生命保険はある程度の期間にわたり掛け金を支払わなければ、相応の金額にはなりません。

ご自身の遺産の大きさななども考えながら、早めに準備をすすめたいものです。

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