普段あまり意識することはないのですが、配偶者短期居住権という権利があります。例えば、お父様がお亡くなりになられたときに、お母様がそれまで住んでいた建物に無償で居住することができるという法定の権利です。遺産分割をする場合には、それにより建物を取得する相続人(例えば、長男)が決まるまでは居住することができます。
これまでも、上のようなケースでお母様が無償で居住を続けるようなことはあり、それに対して長男が文句を言うようなことはなかったので、あまり意識することはありませんでした。
ただ、相続の問題では、親子で対立しているようなケースも時折見受けられ、配偶者短期居住権により無償居住の権利が明確になったことに意味はあると思います。弁護士が代理人を務めるようなケースでは、遺産分割までに長期間を要することも多く、それまでの居住の利益をどのように考えるのかという問題はないわけではなかったのです。
なお、配偶者短期居住権のほかに、配偶者居住権もあり、こちらは一時的なものではなく、配偶者に居住権を取得させるという内容です。この点に関しては、また機会があれば触れたいと思います。
相続法に関しては近時様々な改正がなされておりますので、ご注意ください。