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生成AIと知的財産の共生と公認のAIというアプローチ

生成AIに関する話題には事欠きませんが、その利便性の反面、知的財産の無断利用などが問題視されています。日本でも新聞記事の無断スクレイピングなどが問題視されています。

そんななか、最近は知的財産の保有者とAI事業者とが提携するという報道もみかけます。DisneyとOpenAIが提携するというのが話題になっていました。このほかにも、Open AIは英経済紙Financial Times Groupと提携したといニュースもありました。無断でスクレイピングをすると対立を招きがちですが、許諾を得て学習をさせることで協調を求める方向に舵をきっているように思います。AI事業者としては、ユーザーに対して「権利侵害のリスクがない、高品質で安全なAI」であるという強みを訴求できるようになりますし、知的財産の保有者としても、許諾による収益はもちろんですが、劣悪なコンテンツの濫造を回避してブランド価値を保つことができるというメリットがありそうです。

日本でも、NTT西日本のVOICENCEという面白い事業がありました。声優や俳優の「声」という、法的に保護が難しい領域に対し、ブロックチェーン技術を用いて「これは本人が許諾した公認AIである」という証明(真正性)を付与する仕組みのようです。ご存じの方も多いかと思いますが、日本では声優などの「声」はパブリシティ権や不正競争防止法での保護の可能性が示唆されていますが、現実には保護のハードルは高そうです(今のところ裁判例などもないようです)。そこで、公認のAI音声を提供することで、いわば品質の高い真正品と劣悪な模倣品とを区別して、「声」の提供者の利益を守ることにつなげようという狙いがあるようです。これもAIとの共生ないしは協調といえるのではないでしょうか。

ところで、EUではAI法が施行されており、2025年8月2日からは汎用目的AIモデルに関する規制も始まっています。ここでは、著作権に関する義務として、著作権ポリシーの策定、オプトアウト権の行使などが定められています。また、 学習データの概要を公開すること、AIであることが分かるようにすることなども求められます。背景には、透明性の確保と権利者の意思の尊重といった理念があるようです。このようなAIの規制が世界でも広まることになれば、AI事業者としては、コンテンツ制作者などの知的財産の保有者との協力が欠かせないことになるのかもしれません。

もっとも、わが国ではこのような規制はありませんし、世界的な動向がどうなっていくのは正直なところ私のレベルではよく分かりません。ご紹介したようなあり方が市場で確立されていくのか、法規制の方向性とともに注視していきたいと思います。

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