特許権などの知的財産権のライセンス契約の交渉で大きな問題になるのは、ライセンス料率ではないでしょうか(ランプサム方式でも同じことですが、ここでは触れないことにします)。
契約自由の原則ですから双方で話し合って決めればよいのですが、適正なライセンス料率が気になることは確かです。経済産業省のウェブサイトには「令和6年度 知的財産のライセンスに関する調査報告」(2025)が掲載されています。こちらを見ると、特許の場合では、業種などによっても違いますが、だいたい3%強くらいが多いような印象です。
https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/guideline/list21.html
ただ、この調査結果だけをみると、何に対するパーセンテージなのかが分かりにくいようです。アンケート票などからすると、正味販売額に対するライセンス料率を調査しているようです。正味販売価格というのも明確な定義があるものではないようですが、一般的には、販売価格から販売に要する以下のような経費を控除するものと考えられいます(医療系産学ネットワーク協議会ウェブサイトにあるmedU-net ライセンス管理ワーキンググループ「ライセンス契約の考え方 ライセンス契約における各条項の考え方」(平成24年)を参照しました)。
- 梱包費、運送費若しくは輸送費、倉庫料、又は商社手数料
- 運送又は輸送に係る保険料
- 消費税、物品税又は付加価値税その他本件製品の販売に直接課せられる租税公課
控除する経費は業態によって異なるでしょうし、会社によっても考え方が違うことがありそうです。アンケート調査で明確に定義していないのは、そのような理由もあるのかもしれません。はっきりとは分かりませんが、正味販売額というのは知的財産関連業界の独特の用語のような気もします。
なお、紛らわしいのですが、会計で用いる正味売却価額とは異なる概念です(棚卸資産の評価損などで用いると思います)。正味売却価額は、売価(購買市場と売却市場とが区別される場合における売却市場の時価)から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したものとされます(EY新日本有限監査法人ウェブサイト(https://www.ey.com/ja_jp/technical/corporate-accounting/glossary/glossary-sa/shomi-baikyaku-kagaku)2026年1月22日最終閲覧)。
一言で適正なライセンス料といっても、いろいろと検討すべき点はありそうです。ちなみに、少し古いものになりますが、ライセンス料に関する書籍として以下のようなものがあります。ご参考にしていただければと思います。
- 経済産業省経済産業政策知的財産政策室「ロイヤルティ料率データハンドブック」(経済産業調査会,2010)
- 発明協会研究センター「実施料率:技術契約のためのデータブック」(発明協会,2003)