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種苗法の改正の検討

先日(2024年2月24日)に種苗法の改正を検討しているとの報道がありました。
農林水産省は、植物の新品種について出願公表の時点から第三者による無断輸出を差し止めることができるようにする方向で考えているとのことです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e02af22c6f82b07595c723511e7e8a76dd47ebac

植物の新品種について品種登録出願をすると、出願内容の一部が公表されます。これを出願公表といいます。この時点ではその品種について登録が受けられるかどうかは分かりません。新品種として登録が認められれば差止請求権が発生するようになっているわけですが、その前の段階で輸出を差し止めることができるようにしようということです。

植物の新品種の海外への流出については、以前より問題視されてきました。種苗法の令和2年改正では、品種登録出願時に届出をすることにより海外への持出を制限することができるようになりました。その狙いは次の通りです。育成者権者が登録品種の種苗等を譲渡すると、育成者権の効力は譲渡された種苗等には及びません(消尽といいます)。ですから、譲受人はその種苗を第三者に譲渡したり、輸出したりすることができることになります。同改正は、品種登録出願時に輸出できる国を指定しておくことで、育成者権が種苗等を譲渡した場合であっても、譲渡人が指定した国以外の国に対して輸出することを差し止めることができるようにしたのです。譲渡することにより育成者権が消尽することの例外を作ったといわれます。このような規定は他の知的財産法にはみられないものです。

そして、今回は出願公表後に輸出を禁止することができるようにすることを検討しています。現在の種苗法でも、出願公表後に無断で利用した者に対しては一定の場合に補償金請求権といって金銭的な請求をすることはできます。ただ、この時点では新品種として登録されるのかどうか分からない段階ですので、金銭的な請求に限られますし、それも品種登録を受けてから行使できるにすぎません。この時点では新品種として登録されるのかどうか分からないのですから、第三者の利用を差し止めることまではできないのです。特許法でも同じような補償金請求権の制度が設けられていますが、差止請求権までは認められていません。

農林水産省がどのような制度設計を考えているのか現時点では分かりませんが、種苗法において出願公表の効果として差止請求権(ないしそれに類似する権利)を設けるのであれば、今までにない制度ということになります。海外流出を防止するという目的から「輸出」の差止めのみに絞るようですが、それでも当該出願にかかる品種が登録されなかったときにどのようにするのかは、考えさせられるところです。種苗法は知的財産法のなかでは(失礼ながら)マイナーな扱いを受けている法律なのですが、前述の消尽の例外や出願公表後の差止請求権(の検討)など他の知的財産法にはない新しい取り組みがされていて興味深いところです。

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