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秘密保持義務違反に基づく懲戒処分

近時の企業活動においては情報管理の重要性がますます高まっています。個人情報を含めて企業の情報を適切に管理していかなければ、対外的な信頼を失いかねませんし、競争力を維持していくことも難しくなります。そのような情報管理の一つとして、企業秘密の保護が求められます。従業員等が秘密を漏洩等することのないよう、就業規則などで秘密保持義務を定めているところも多いと思われます。

ところで、従業員等が秘密保持義務に違反したときには、当該従業員等に対して懲戒処分をすることはできるでしょうか。就業規則に秘密保持義務違反を懲戒事由と明記していれば、当然のことながら懲戒処分を行うことができます。

では、就業規則に明記されていない場合はどうでしょうか。この場合は少し考えなければなりませんが、従業員等に労働契約の付随義務として秘密保持義務があることに争いはありません。ですから、懲戒事由として「故意又は過失により会社に損害を与えたとき」といった規定があればそれを根拠とすることが考えられます。また、「その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき」といった条項を根拠として懲戒処分を行うことができるのではないかと言われております(*1)。

このような懲戒権を背景に企業の情報管理に関する秩序を維持していくことができると思われます。もっとも、秘密保持義務違反は退職後に問題となる場合が多いように思われます。この場合には、懲戒処分では意味がありません。そもそも、退職後には就業規則の効力が及ばないという考えもありますので(*2)、改めて退職時に誓約書などの取り付けて、秘密情報の保持をはかるべきでしょう。

*1: 髙谷知佐子=上村哲史『秘密保持・競業避止・引抜きの法律相談〔改訂版〕 最新青林法律相談』71頁[上村哲史](青林書院、2019年)。
*2: 秘密保持義務に関しては退職後も効力をもつという考え方もありますが、守るべき秘密を明確にして誓約書を取り交わしておけば、秘密保持義務の有効性に関する疑義をなくすことができまますので、非常に有益と思われます。

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