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ダークパターンと消費者法

前回に続きスポーツ関連のニュースですが、定額制動画配信サービスの「DAZN(ダゾーン)」の「DAZN Soccer」の表示が紛らわしいと話題になっていました。現在は、「DAZN Soccer」の新規募集は停止したようで、どのような表示があったの確認できないのですが、月々更新される契約のように見えているが、実際には途中解約のできない年間契約だったということです。

消費者庁は特定商取引法や景品表示法を含めて法令違反と認められれば、何らかの対処をする可能性はあるというコメントをしているようです。もっとも、「炎上」があったため、現時点では表示が是正されているようなので、あまり動きはないかもしれません。

消費者庁のいうように、特定商取引法で支払い金額や解約条件などを明示することが求められていますので、そのような表示がなければ、同法違反になります。ただ、今回は表示がなかったのではなく、分かりにくかったところが問題になっているように思います。

この種の紛らわしい表示で、消費者を意図しない選択に誘導するUIなどは「ダークパターン」と呼ばれたりします(正確な定義ではないかもしれません)。ダークパターンについては、我が国では直接規制する法令は存在していません。もちろん、取引条件が誇張表示などにより実際のものよりも著しく有利であると誤認させるような表示であれば、景品表示法5条2号の有利誤認表示として規制されますし、場合によっては、不利益な事実の不告知として消費者契約法違反になる可能性もあると思います(同法4条2項、なお、最判平成29年1月24日[クロレラチラシ]はチラシの配布が勧誘にあたるとしています)。ただ、一般的に、ダークパターン自体を規制する法令はないということです。

ダークパターンのような分かりにくい表示は、デジタル機器の取り扱いに慣れていない方であったり、詳細を確認しないで簡単にクリックしてしまうような方に大きな不利益を与えるおそれがあります。私も詳しくはありませんが、EUのデジタルサービス法(DSA)では、オンラインプラットフォーム提供者に対してダークパターンを禁止する義務を課しています(DSA25条)。具体的には、サービス受領者の利益にはならない可能性のある行為にサービス受領者を誘導するような搾取的なデザインを選択することなどが禁止されているとのことです(川村尚子「EUデジタルサービス法(DSA)規則におけるオンライン・マーケットプレイス規制」中田邦博=鹿野菜穂子編『龍谷大学社会科学研究所叢書第145巻 デジタル時代における消費者法の現代化』371頁(日本評論社、2024年))。

消費者の自身の意思による意思決定が適切になされるようにデジタル環境を整えていくことは、今後のデジタル化の進展にあたって非常に重要な課題と思われます。この機会に、わが国でもダークパターンの規制についての議論が進むことを期待したいと思います。

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