先日、国立美術館のウェブサイトで著作権の保護期間が満了した作品(パブリックドメイン作品)の画像ダウンロードができるようになったという報道がありました。国立美術館のトップページのから「所蔵作品総合目録検索システム」(https://search.artmuseums.go.jp/)に入っていただくことで、作品を探してダウンロードすることができます。2026年8月5日確認したところでは、パブリックドメイン作品の一覧のようなものは出ていませんでしたので、それぞれ作家名などから検索していただく必要があります。ご存じのとおり、著作権の保護期間は原則として著作者の死後70年となっておりますので(著作権法51条2項)、それを目安にしていただければ、著作権の保護期間が満了している作品を見つけやすいと思います。なお、著作権の保護期間はCPTPPへの対応のために2018年12月30日施行の改正著作権法により50年から70年に延長されました。改正法施行までに著作権の保護期間が満了している著作物については、遡って適用されることはなく、保護期間は50年のままです。このほか、第二次世界大戦の連合国の国民の著作物に関しては戦時加算があるなど、著作権の保護期間は複雑な場合があるのですが、ある程度の目安はつけられると思います。
ただし、ダウンロードしたパブリックドメイン作品には利用条件があります。といっても、それほど厳しいものではありません(https://search.artmuseums.go.jp/how_to_use.html)。比較的利用はしやすいと思います。
なお、上の利用条件は契約上のものですが、著作権法上も一定の制約がかかる場合があります。あまり知られてはいないかもしれませんが、著作者がお亡くなりになった後でも、著作者が存していればその著作者人格権を侵害することになる行為は禁止されているのです(著作権法60条)。この規定の趣旨は、著作者の死後も人格的利益が守られるようにすることで、著作者が安心して死を迎えることができるようにするためなどと言われます(ほかにも、国民の文化的遺産の同一性を保持するためとか、遺族の人格権を保護するためといった見解も示されています)。
この規定の違反があった場合には、一定の遺族が差止請求権や名誉回復等の措置をとることができます(著作権法116条)。その遺族のご存命の状況によっては、著作権の存続期間が満了した後でも、民事的な請求をうける可能性はあるのです。また、これは刑事罰の対象にもなっていますので、その後も刑事的な制裁をうけかもしれません(著作権法120条)。
もっとも、著作権法60条では、「その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない」とされています。「意を害しない」というのがどの程度のものなのか議論はあります。ただ、著作者が存命であれば許したであろうという行為については、許容されると考えられています。なかなか難しいところですが、改変をする場合には慎重に行う必要があるのは間違いなさそうです。