NEWSお知らせ

桃太郎像と屋外にある美術の著作物

当事務所は岡山駅の近くにありますが、岡山駅前には桃太郎像が飾られています。以前は噴水のある広場の真ん中に鎮座していたのですが、現在は路面電車の引き込み工事のため別の場所に避難しています。ただ、皆さん、こちらの桃太郎像が岡山っぽいものと思われるのでしょうか、スマホで写真を撮影している方がチラホラみられます。私も以下の通り撮影してみました。確かに岡山は桃太郎のイメージがありますよね。

ところで、桃太郎像は美術の著作物になるはずです。桃太郎像の写真を撮影するということは、桃太郎像を複製するということになりそうですが、大丈夫なのでしょうか?そう考えると不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

桃太郎像は美術の著作物ですので、著作権が発生しています。著作権は権利の束ですから写真撮影などで複製する権利も著作権者がもっています。ただ、美術の著作物については、その原作品を街路や公園など一般公衆に開放されている屋外の場所などに恒常的に設置されていると、著作権者の権利が制限されることになっています。例外はあるのですが、原則としては方法の如何を問わず美術の著作物を利用することができるのです(著作権法46条)。

美術の著作物が一般公衆の見やすい屋外に恒常的に設置されると、誰もがそれにアクセスすることができるようになります。その著作物を写真撮影したりすることが著作権侵害となってしまうと、一般公衆による行動の自由が過度に制約されてしまいます。そこで、著作権の制限規定によって、屋外に恒常的に設置された美術の著作物は、原則として、いずれの方法によるかを問わず利用することができるようになっているのです。もっとも、著作権者に大きな不利益を与えるような行為は例外です。例えば、「彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合」や「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」などが例外として挙げられています。写真撮影などはこれに該当しないから大丈夫ということになります。また、SNSなどに投稿するのも問題ないことになります(販売目的があれば別ですが)。

このように、著作権法は権利を守るだけではなく、それを利用する側の利益をも調整しようとしているのです。ちなみに、岡山駅前にある桃太郎像がレプリカだったらどうなるでしょうか。レプリカは原作品ではなく複製物です。前述の著作権法46条は「原作品」が屋外に恒常的に設置されていることを要件としています。したがって、屋外恒常設置された複製物の自由利用は許容されていないと読み取ることもできるのです。もっとも、屋外に設置されている美術の著作物(例えば、桃太郎像)が原作品(オリジナル)なのか、複製物(レプリカ)なのかを区別するのが難しいことも多いと思われます。そこで、このような場合には、著作権法46条を類推適用して、著作権を制限すべきという学説が有力ということです。

   

一覧へ戻る