DX時代とも言われるようになり,インターネットをめぐる法律問題を避けて通ることはできません。当事務所の弁護士は,理工学部の出身でもあり,技術的な背景知識を保有しています(講演実績などもご参照ください)。お気軽にご相談ください。
信用毀損(SNS等,口コミサイトによる被害)
インターネットの発達により誰しもが情報を発信することができるようになりました。SNSはもちろん,転職サイト,企業紹介の口コミ情報サイトなどに過激な書き込みがされて会社の信用を落としてしまうことがあります。インターネット上での情報の拡散は非常に速いので,早めに書き込みの削除請求や発信者情報開示の手続を検討すべきでしょう。法律的な手続きは個人の場合と特に変わりはありませんが,企業の場合には,商標権や著作権の侵害といった観点から問題に対処することも考えられます。SNSトラブル等のページもご参照ください。
EC(電子商取引)
ICT技術の発達や新型コロナウィルス感染症拡大といった背景もあり,実店舗ではなくインターネットを通じた商品の販売を検討されている方も多いと思われます。法律的には次のような点に注意すべきでしょう。新たにBtoCのビジネスを始めようと考えている方はもちろん,既にeコマース(ECサイト)を展開している事業者もチェックしてみてください。
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個人情報の取扱い
プライバシーポリシーなどを作成しましょう。個人情報の利用目的,保有個人データの開示等の手続などを明記して,必要であれば,第三者提供の同意をとりつけるようにしなければなりません。
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利用規約の作成・整備
お客様との契約内容になります。改正債権法の約款の規定に注意して,変更の場合の周知手続きなどを記載しましょう。また,自社に一方的に有利な条項にならないようにしてください。自社の損害賠償責任の完全な免責や消費者のキャンセル料の過大設定は禁物です。
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通信販売をする場合
特定商品取引法の必要的記載事項を表示しなければなりません。返品の可否(キャンセルポリシー)もはっきり記載してください。通信販売の広告に特約を記載していないと,商品の引渡し日から8日間の返品が認められることになります。
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広告のありかたなど
eコマースでは広告が重要になりますので,その表示内容に気をつける必要があります。いわゆる誇大広告にならないようにしなければなりません(有利誤認表示,優良誤認表示)。そのほか薬機法をはじめとする各種の法令を遵守しなければなりません。
電子契約・タイムスタンプなど
テレワークの普及などもあり電子契約の導入を検討されている方も多いかもしれません。また,営業秘密やノウハウの保護などのためにタイムスタンプを利用することを考えている事業者もあるでしょう。導入に際しては次のような点を考慮すべきでしょう。また,重要なのはシステムの導入ではなく,その運用になります。営業秘密管理規定や文書管理規定なども検討する必要があります。
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電子契約(電子署名)
電子契約を導入することにより,契約書のプリントアウト,押印,発送などの作業負担を減らすことができます。また,印紙代が不要になるというメリットもあります。
いわゆる電子契約システムでは電子署名をほどこすようにされています。電子署名が(紙の文書の)印鑑に相当します。電子署名には,ローカル署名・リモート署名と言われるものと,立会人型電子署名と呼ばれるものがあります。また,電子証明書取得の際の本人確認にもいくつかのレベルがあります。実印レベルの電子署名をもとめのか,認印レベルのものでも構わないのかを検討して,どのよう仕組みの電子契約システムを採用するべきかを考えるべきでしょう。
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タイムスタンプ
タイムスタンプは,今その時刻にその文書が存在していたことを証明するものです(存在証明・非改ざん証明)。PDFファイルなどにタイムスタンプを付して保管することで,例えば,その時点での発明の完成などを裏付けることができます。このようにして,ノウハウ(営業秘密)としてクローズにしておくのも有効な事業戦略です。そのほかにも,電子帳簿保存法での領収書や請求書の保存にもタイムスタンプは不可欠です。
タイムスタンプについては,一般財団法人日本データ通信協会の認定制度がありましたが,現在では,国による認定制度が設けられています(2021年4月総務省告示)。
テレワーク
テレワークには,感染症対策という安全配慮義務の履行という意義が挙げられます。ただ,それだけではもったいないと思います。多様な人材の確保といった観点からも前向きに検討してはいかがでしょうか(例えば,子育て世代に働きやすい環境を整えるなど)。まずは,どのような目的をもってテレワークを導入するのかを検討すべきでしょう。
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労務面について(テレワーク規則など)
労務面における特殊な対応は必要ありませんが,就業規則ないしテレワーク規則を導入しておくのが望ましいでしょう。テレワークの特性を生かして中抜けなどができるようにしておくとよいとされます(終業時間の繰り下げや時間単位の有給休暇制度)。難しいのは労働時間管理でしょうが,チャットや勤怠アプリのようなものを利用している事業者も多いようです。テレワークを本格的に導入するのであれば,フレックスタイム制の導入などを検討してもよいでしょう。
参考: 厚労省 「テレワークガイドライン」,「テレワークモデル就業規則」
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人事評価について
テレワークでは人事評価に苦慮されるケースもあるようです。目標管理制度などを導入している会社も多いかもしれません。いずれにしても,テレワークで勤務をしている従業員が不利になることのないような評価制度を考える必要があるでしょう。
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情報セキュリティ
テレワークだけではありませんが,情報セキュリティには配慮する必要があります。会社の企業秘密が漏洩するようなことがあると大きな問題になります。また,個人情報の漏洩に関しては令和2年改正の個人情報保護法では個人情報保護委員会への報告が義務付けられる場合があります(令和4年施行予定)。規則などの整備とあわせて,従業員教員を十分に行うべきでしょう。
参考: 総務省 「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き」